第一回:『Ever17』は恐ええぜ
2003/11/?
『Ever17』、おそらく、聞いたことのない名前であろう。
悪いことは言わない。ここより後は見ることをやめて、『Ever17』を検索サイトで調べ、注文し、買って、やるべきだ。
あ、他のサイトでレビューを見るのも駄目だよ。
見るのをやめろって言ったのに(笑)
さて、事の起こりは、私が何の気なしにゲームのレビューを読み漁っていたとき。
某レビューサイトで、おかしなレビューを見つけた。
『Ever17』というタイトルのゲームのレビューには、これみよがしに『ネタバレ厳禁』が書いてあった。
そこのサイトは、ここまでネタバレを禁止することがなかったので、そこがひっかかったわけなのだが、それが事の始まり。
面白そうだったので、オフィシャルHPを調べ、見てみる。そこでの私の感想は「普通そう」だ。
むしろ、エロでもないギャルゲーには、そう多くを求めていなかった。
さて、そんなこんなで日が経ったのだが、何故か酷く気になっていた。別に理由があるわけでもなかったが、しいて言うなら、そのレビューサイトの紹介がひっかかっていた程度だ。
最近、ネットによる通販を覚えていた私は、何のついでか、そのゲームを通販で頼んだ。他の欲しい漫画やゲームのついでに、という感じではあった(ちなみに、『Ever17』だけ違うサイトで頼んだ)。
さて、ゲームが届いたのはいいが、何と言っても社会人、そう時間が取れるわけでもなく、そのころ買ってきたゲームボーイアドバンスの牧場物語とゲームキューブの牧場物語がそれなりに一段落ついて、次は何をしようかと積みゲーを見て、やっとそれを手に取る。
その週は、とことん寝不足だった。
何故なら、『Ever17』がそこにあったからだ。
これだけは言っておく。
ネタバレは厳禁だ。
ネタバレは厳禁だ。
絶対ネタバレは厳禁だ。
よし、言ったぞ。これでこれを守らなければ、このゲームはまったく意味のないものになる。これだけは覚えておいてくれ。
『Ever17』、海中の中にある、海洋テーマパーク『LeMU(レミュウ)』内に閉じ込められた、七人の人間の行動を、二人の視点から見ていく、サスペンス恋愛アドベンチャーである。
もちろん、目的は『LeMU』からの脱出であるのだが…
これ以上は、一応は気を使っているつもりだが、少しずつネタバレをしてしまう可能性があるので、興味がわいたら、続きを読むのをやめ、即刻『Ever17』を購入し、涙しながらプレイするべきだ。
明日のためのその1:ゲームと思うなかれ
まずは、『Ever17』を楽しむための最低条件を。
『Ever17』は、ネタバレをしてしまうと、その魅力がなくなってしまう。ネタバレは極力、いや、全力を持って避けるべきだ。
ただし、攻略に関して言えば、これはさしてネタバレは問題ない。むしろ、攻略サイトなどを使って、円滑に話を見れるようにした方がいいだろう。
『Ever17』をした多くの人間が、ネタバレにならないような攻略チャートを作ってくれている。それを活用しない手はないだろう。
さて、何故ゲームと思うな、と言ったかは簡単だ。このゲーム、ゲームをクリアするという爽快感は、まったくない。本当にまったくない。
あるのは、謎を解明する、その爽快感だけだ。
そして、選択肢でその謎を解く部分は、恐ろしいほど少ない。よって、攻略サイトを使うことは何の問題もない。
しかし、推理小説の犯人がわかった状態で小説を読むのは、もしかしたらありかもしれないが、謎がわかった状態で読む推理小説は、果たしてどうだろうか?
ネタバレをこれでもかと避けているのは、そういう意味がある。
『Ever17』に隠される謎をわかった状態でこのゲームをしたところで、何の感動もないだろう。ただたるいだけだ。
クリアを終えて、ニヤニヤしながらやるのはありだがな。
というわけで、ネタバレは厳禁、攻略サイトはOK、これを覚えておいてくれ。
明日のためのその2:我慢が大切
ここまで言われてネタバレを見に行けない我慢というのもあるが。
残念ながら、『Ever17』は少し我慢が必要な部分もある。
中だるみも、ないでもないが、それはまあ大したことはない。
プレイ時間は、完全クリアまで20から30時間と言ったところか。アドベンチャーにしては長いかもしれないが、極端に長いというわけではないだろう。
問題は、一人のキャラクターだ。
簡単に説明すると、電波だ。
それでわからない人は、三歳児と会話をしているとでも思ってくれ。
いや、たまにそれ以外の人間が電波に犯されることさえある。
ぶっちゃけると、見てて引くのだ。
その一匹のキャラが、わけのわからんことを言ってくる。電波全開でだ。
エロゲーにはそれぐらいのボケキャラぐらいいるだ?
ああ、そうかもしれん。私がそういうキャラが嫌いなのもある。
が、おそらく、あなたは「あれ」をなめている。
「あれ」をやった声優さんは、正直がんばったと思う。仕事とは言え、きっと私なら途中で夜逃げをするだろう。
「あれ」が最初の最初から猛威をふるうおかげで、この作品を人に勧めるのをためらうのだ。ギャルゲー要素は少ないので、あれさえなければ、万人に進められるものを…
始めは、いや、最後になってもほほがひきつり、思わずボタンを連打、会話をさっさと進めようとするかもしれない。
だが、それは少し待て。
そのセリフの中に、何か重大なヒントが隠されているかもしれないのだ(涙)
いや、ないのかもしれないが、読み飛ばし、ヒントを見過ごす可能性を考えると、あまりボタン連打はいただけないのだ。
おそらく、一時間もやれば、それも慣れる(というか、出てこない場面もあるし)だろうし、『Ever17』の魅力に気付き、虜になっているかもしれないが、それまでは辛抱だ。
この我慢ができなければ、このゲームを途中で投げ出してしまう可能性がある。それだけは避けたいので、先に忠告しておく。
もっとも、そう思っているのは私だけで、他の人は平気なのかもしれないが…
明日のためのその3:『Ever17』には謎がある
おかしな話だが、これを意識しているのとしていないのとでは、おそらく楽しみ方がまったく違ってくるだろう。
『Ever17』には謎がある。それも、一筋縄ではいかない謎だ。
突拍子もない設定、登場人物が話すセリフ、意味深な描写、などなど、『Ever17』では、プレイヤーの頭を悩ませ、しかもミスを誘ってくる罠が沢山しかけられている。
これを全て読み、この謎を解き明かすのは並大抵のことではないだろう。
しかし、変な話だが、それが楽しみでもあるのだ。
『Ever17』を、単なる恋愛アドベンチャーと思ってやった人間には、大して面白くもないゲームとなろう。
だが、『Ever17』をミステリーと思ったとき、このゲームの魅力は発揮される。
はっきり言っておこう。
この『Ever17』、並のミステリーではない。
どこが並ではないのかは、やってみてもらえばわかるだろう。
「謎がある」と思いながらやる『Ever17』は、それはもうそこかしこに謎のありそうなものがありまくり、正直嬉しくて涙が出るぐらいだ(笑)
しかし、なめてはいけない。
不可思議な謎、誰にもわからない設定だけならば、今の世の中の作品にはそこかしこにある。正直、私にはあまり魅力あるものには見えないが、それが受けることもある。
だが、『Ever17』は違う。
『Ever17』の謎、そのほとんどは、もちろん『Ever17』内の設定にそったものだが、整合性が合うのだ。そして、明かされない謎も、推測ができるというおまけつきだ。
だが、それでさえ私はだまされた。
ええ、もうこれでもかってぐらい完璧にだまされました。
致命的なヒントが出るまで、私はミスを犯し、『Ever17』にだまされていた。
サイコーの騙し方をしてくれました、そりゃあもう本当に。
ここまで整合性があっているにも関わらず、騙されるのは、ひとえにこの作品の恐ろしさだろう。
であるから、私はつぶやいたのだ。
「『Ever17』は恐ええぜ」
と。
以上、ネタバレをなるだけ避けて、『Ever17』を楽しむためだけの話をした。
後は、誰か致命的なヒントが与える前に、あの謎を解いて欲しい。
私は見事に騙されたが、あなたなら、いけるかもしれない。
てか、買え(笑)
ゲームを人にすすめない私が言うのだから、間違いない。
おまけ:クリアする順番
とりあえず、最初に「俺」を選び、つぐみをクリア、これがよいでしょう。