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友情の100万パワー

 

「親友として、由々しき事態だと思うわけですよ」

「……ん」

「あ、自己紹介おくれったッス。あちき、吉岡チエ、愛称よっちと申すチンケな女子高生にござんす」

「……山田ミチル……通称ちゃる。役所……脇役」

「くぁ〜! この冷製ギツネ何言うかな。言わなきゃばれないってダブルヒロインで通るってむしろあたしがメインヒロイン!」:注1

「……絶対ばれる。というか誰も私達知らない」

「そっかな? これでもけっこういけると思うけど」

「そしてメインヒロインは私」

「いけしゃあしゃあと何言うかなこのキツネは。主人公たるセンパイのハートゲットはあたしにしかできないっしょ」

「……ふっ」

「くぁ!? 笑いやがった絶対笑いやがった!」

「いいから……」

「おっと、目的を忘れるところだった。というわけで、このみの親友としては、河野先輩とこのみのラブッ!、を成就させてやりたいのですよラブッ!、を」

「……頭大丈夫……でない訳がない」

「二重否定!?」:注2

「てっきり、このみからヒロイン略奪愛かと」

「やろうにもまだこのみ、河野先輩手に入れてないし」

「……世知辛いね」

「まったく。脇役に愛の手をって自分で脇役言っちゃった!!」

「……黙れタヌキ」

「くぁ!? 自分で振ったネタのくせに!」

「話進め」

「おっと、危ない危ない。というわけで、このみのために、まずは一番の強敵である女の方の向坂センパイを打破することから始めようと思います」:注3

「無理」

「やる前から点六個さえない断言するな! 根性が足りん根性が!」

「ふはははは、戦力が違うのだよ」

「棒読みで笑うな!」

「数値に直すと、私たちが一人100万パワーとすると……」

「どんな単位なのかさっぱりわからないけどふむふむ。てかけっこう強いんだ」

「巨乳センパイは1000万パワー」

「強っ! てか何げにめちゃ失礼なこと言ってるし!」:注4

「友情では超えられない壁……」

「あきらめるな! あきらめたらそこで終わりだ! 何とかする手を考えろ!」

「叫んで解決するならこのみも困らない……このみは叫ばないけど」

「というか何か、あたしらは戦う前から相手になってないってか?!」

「当然」

「くぁ……所詮あたしらは脇役か。立ち絵があるだけましと思えってか?」

「負けるな、脇役」

「あんたもっしょ。それに、あたしはこれぐらいではへこたれない! 向坂先輩に勝つ方法を考える。まず、このみとあたしとキツネで足して300万パワー!!」:注5

「……三本の矢、妥当」

「さらに、巨乳、貧乳で二倍で600万パワー!!」

「……」

「さらにさらに幼なじみで年下によって二倍の1200万パワー!! やった1000万パワー超えたどうよコレ!!」

「……黙れ食肉目イヌ科哺乳類」

「くぁ!? それってタヌキもそうだけどキツネだって同じなんだぞっ!」

「そんなのでは片チチにも勝てない」

「片チチって何さ?!」

「私なら……まず三人で300万パワー」

「ここまでは一緒か」

「そして……私よっちこのみ河野センパイの四人で4P、四倍で1200万パワー」:注6

「それだあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 それだじゃねえ。

 

 

おまけ

 メキメキメキメキ……。

「あだだだだだだだだだだだだッ!!」

「両手で二倍!! そこからいつもの二倍飛んで四倍!! さらにいつもの三倍ひねりを加えることによって十二倍!!」

 死にますよ、本気で。:注7

 

おしまい

 

注1:冷製です、美味しそうです。

注2:筆者は二重否定に肯定的です。

注3:彼女達は知りませんが、多分一番の敵はいいんちょだと思います。

注4:男が言えば、殺されるでしょう。

注5:このみがお前らと同じパワーなのはどうかと思う。

注6:意味がわからない人も親に聞いちゃ駄目、絶対。

注7:計算式の前にパワーの測定がいい加減なので、雄二は生き残れると信じたい。