かつてこの世の全ての永遠を手に入れた女、”だよもん星人”長森瑞佳。
彼女の死に際に放った一言は、全世界の人々を永遠へと駆り立てた。
「永遠? 欲しければあげるよ……永遠はあるよ、そこにあるよ」
世は、大永遠時代を迎える。
「え、私の出番って、これだけ? しかも何で死ぬの?」
「大丈夫だ、長森。お前の屍を乗り越えて俺は強く生きる。お前の死は無駄には……」
「浩平またそんなこと言って。私これでもヒロインの一人なんだよ。こんな役いやだもん」
「気にするな、じゃ、俺はこれで。達者で暮らせよ」
「うー、ひどいよー。しかも私の目の届かないところで浩平がちゃんと生活できるか心配だよ」
「いいから、お前の出番はここまで。さあ、大航海の始まりだ!!」
「むりやり話をそらさないでよ、浩平」
さて、気を取りなおして、俺は折原=モンキー=浩平。俺は”永遠の実シリーズ”の”悪戯の実”を 食べてどんなときでも悪戯が出来るようになった。昔からそうだったのは君と僕の秘密だ!
俺は仲間と一緒に”永遠なる航海(エターナルライン)”を目指して航海を続けている。
じゃあぱぱっと仲間の説明をしよう。
”永遠狩り”ロロノア=茜。四本刀の使い手で、永遠の世界にいった親友との約束をはたすために ”永遠なる航海(エターナルライン)”にむかっている。
航海士兼盗賊、繭。通称みゅー。航海術は全てこいつにたよっており、 今まで俺達が生きて来れたのが不思議でならないところだ。いつも「みゅー」としか言わないので 言葉が通じているのか今一つ不安になってくる。ハンバーガーに目がない。
狙撃手、澪。言葉がしゃべれないくせに嘘つきだ。そのスケッチブックには本当のことは 書かれていないと思っていい。しかし物を命中させるのはお手のもので俺も二度ほど うどんを当てられた。そのお詫びでこの船に乗っている。自称”ほこりの澪”
コックみさきさん。繭の次にどうかと思われるキャスティングだ。戦いでは頭突きしか使わず、 手を使わない。食事を作るというより、食べる方の専門のはずでは? どっかの演劇部の部長に 「くそおせわになったよ」と言ってこの船に乗る。
……しかし、この面子で海賊……ピクニックの方が似合ってるよなあ。
「で、”永遠なる航海(エターナルライン)”にはこのまま行けば大丈夫なのか?」
「みゅー?」と繭の返事。
「……・」
聞いた俺がバカだったと言えばそれまでだが……。
「みんな〜、お昼ご飯できたよ〜」
「お、もう昼か。……でも、みさきさんの食事って、食えるの?」
「死なないとは思います」
「……茜、お願いだから恐いこと言わないでくれ」
「本当のことを言ったまでです」
「二人ともひどいよ〜。これでもカレーぐらいはつくれるよ」
おそらく朝も昼も夜もカレーなんだろうな。
『わーい、ご飯、なの』
「みゅー、はんばーがー」
「繭、この世界にモ○もマ○ドもあるわけないだろ」
「はんばーがー、はんばーがー!!」
「あるよ」
「へ?」
「はい、繭ちゃん。ハンバーガー」
「みゅー♪」
まあ何でもありなんだろうな、俺は勝手に納得しといた。
「繭さん、制服にソースがついてますよ」
茜がそう言って繭の制服についたソースをふき取る。
「ん? 繭、その制服、どっから取ってきたんだ?」
「みゅー?」
「服だよ、その制服」
繭は自分の口元をその制服の袖でゴシゴシとぬぐいながら首をかしげた。
「やいやいてめえら、その制服を返しやがれ!!」
と突然何の脈略もなく現れるザコA、B、C。さすがザコ、扱いがぞんざいだ。
『てめえらこの俺が偉大なるキャプテン澪と知ってのいいぐさか、なの』
「澪よ、そんなに離れた所から隠れてスケッチブック出しても字が見えないぞ」
俺がそう言ったので澪はスケッチブックに大きく書きなおしているようだ。
「ええい、無視するな!!」とザコA、「グダグダ言わずに制服を返しやがれ!!」とザコB。 「だまって制服を返すんなら命ぐらいは助けてやるぜ」とザコC。
ドーーーーン(敵が倒された後の効果音らしい)
「嫌です」
「うう、せめて倒す前に言ってくれ」とザコA。
『テン澪と知って』
澪はまだ向こうの方で字を大きく書いているようだ。しかも中途半端な所で区切れたらしい。
「で、お前らザコはどこの海賊だ?」
「お、俺達を倒したら”乙女の七瀬”船長が黙っていないぞ」とザコB。
「なんだ、七瀬がいないと思ってたら敵役になってたんだな……うむ、ペストマッチだ」
「誰がよ!!」
そう叫んで現れる七瀬。まさに急展開だ。
「さあ、さっさとその制服を返してもらうわよって、ギャアアアア!!」
「みゅー♪」
お、さっそく繭に髪を引っ張られたか。
「ああ、七瀬船長!」とザコC。
「く、こ、こいつらは……。今日という今日は許さない。私は”永遠の実シリーズ” を食べてパワーアップしたのよ!!」
「なにい!!」
と一応驚愕してみたりする俺。
「ということは素手でタウンページを二つに引き千切れるように……」
「できるか!!」
「おっと、それは昔からできたか」
「こ……こ、この……」七瀬は怒りで我を忘れているようだ。
「ハデに100っぺん死んでこい!!」
わらわらと残りのザコD〜Zまでがいっせいに俺達に向かって襲ってくる。
ゴンゴンゴンゴン!!
みさきさんの頭突きがザコの何匹かを倒す。
「料理は食べるのだって手が命だからね」
でもバカにはなっていくような……。
横では茜がそのおさげに二本、手に二本持った刀でズバズバとザコを切っていく。
『いけ、そこだ!! なの』
「みゅー♪」
澪と繭は見学のようだ。
ザコは仲間にまかせて俺は七瀬と向き合った。
「よし、踊ろう、七瀬」
「え? う、うん……て、そんなんに騙されるか〜!!」
ゴカッ!!
七瀬の拳が俺の顔面を直撃した。
「く、い、痛すぎるぞ」
「なんならもう一発いる?」
「いえ、遠慮します」
「まったく、これだから……さあ、さっさと制服返しなさい。汚すのもだめだし、 オークションにかけるのもだめよ」
「……なあ、七瀬。お前、何の実を食ったんだ?」
「よくぞ聞いてくれたわ。何を隠そう”乙女の実”で女らしく……」
「なってないじゃん」
「ギクッ」
「お前が乙女になるのは無理だ、あきらめろ、天変地異がおこっても不可能だ」
「そ、そこまで言わなくても……」
「いーや、真実だ。今までのお前の行動のどこが乙女だ?」
「う……」
言葉につまる七瀬の肩をぽんぽんとたたく。
「人には得手不得手があるんだ。お前は乙女にはむいてない。まあがんばるのはとめないがな。 じゃあ、俺はこれで」
と、そこまで言って俺は逃げようとしたが、七瀬はガシと俺の肩をつかんだ。
「それと制服は関係ない。さっさと返しなさい」
くう、うまく話をそらしたと思ったのに。
「だいたい何の権利があってそんな……」
「あれは私の制服なの!!」
うむ、正論だ。俺もここまでか……。
「まあ、あの制服がオークションで100万で売れたら服の一つや二つ買ってやるから……」
「オークションなんかせずにさっさと返して……」
グイッ
「ギャアアアアアアアアア!!」
「みゅー♪」
「ナイスだ、繭!! さあ、みんな逃げるぞ!!」
『がってん なの』
「逃げる必要はないと思いますが、分かりました」
「あうー、目がちかちかするよ〜」
「頭突きばかりつかうからだろ、みさきさん」
「みゅー♪」
俺達は猛然とダッシュをかけて逃げる。
「く、逃がすもんですか。やろうども!! ……じゃなかったあなた達、ハデに追いかけろ!!」
「へい!!」とザコ一同。
こうやって俺達は”永遠なる航海(エターナルライン)”を目指して航海を続けるのであった。
終り