「ごめん、吉井。俺、お前の気持ちには答えられない」
「……そう」
あっけなかった。
予測していた悲劇なんて、まあこんな感じしかうけないのだろう。
「まあ、私もうまくいくとはおもってなかったから」
「……」
さすがの藤井君も、こういうときにかける言葉はなかったようだ。
「で、藤田君に好きな人いるの?」
「まだ、はっきりとは言えないが……」
そうか、いるのか。まあ、彼女がいないのが不思議なぐらいだ。気になる子ぐらいはいて欲しいものだ。
「じゃあ、あきらめるか。カケだったんだけど、まあ、まけちゃったらね」
私はかばんを持つと藤田君の横を通って廊下に出た。
ほら、私は泣かなかった。
だって、罰だって知ってたから。
私は、人がいる所では何でもないという風を演技するのがうまいのだ。
ほら、だから……。
藤田君の顔が見えなくなったら、止めれない。
私は、教室から走って遠ざかった。だって、このままいたら、泣き声を藤田君に聞かれてしまうから。
私は、罰を受けた。
なのに、何でこんなに痛くないのだろう。
ただ、こんなに悲しいのだろう。
それは、罰であって、私の望んだことではないのに。
何故、私は自分のように泣くのだろう。
それが、わからなかった。
私の罰は、いや、私の恋は、終った。
必然の結果を向かえて。
終り、バットエンド