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第3回:富士山一周サイクリング

2005/7/19

 突然であるが、私は自転車が好きである。

私の自転車

 何も物凄い自転車にこだわりがある訳でもないし、それに人生賭ける訳でもないけれど、とりあえず、自転車が好きである。

 それはまだ単なるデブだった小学生から、私立の中学に入学したときのこと。私立が、電車で40分かかる場所だったのだけれど、家から駅までも、6〜7キロあった。しかも、けっこう長い坂道もついている。

 中一から、中高一環だったので、高三まで、ずっとその道を自転車で往復した結果、単なるデブから、筋肉デブに変化したのだ(いや、あんま変わんないという話もある)。

 当時、それに気付いた自分はえらく嬉しかったものだ。

 運動音痴は治らなかったが、ついた体力と筋力は、中三から高二にかけて、私に身体を鍛えさせる原動力となった。

 そう、言わば、自転車とは、私にとっての自分を鍛えるというものの、原風景なのだ。

 まあ、大学中に太ってはしまったものの、自転車の効能というものを、それでも信じていた訳なのだが。

 そして、今、社会人になってお金にも余裕があり、体重もまあ落とせて、久しぶりに自転車をこぎたくなった。

 現在、日本の秘境、御殿場とその周辺に住んでいるのだが、御殿場にいたころは、たま〜に箱根の長尾峠まで、自転車で上ってみたりしており、体力には自信があった。上りもまず平気だろう。

 そして、今回、ちょっと無茶をしたくなった。するからには、それなりの、しかし、できる範囲の無茶が良かろう。

 そんなことを考えて、選んだのが、これ。

 富士山一周サイクリング。

 いきなりそれか、という選択肢ではある。というか、せいぜい3〜40キロぐらいしか一度にこがない人間が、無茶を言う、と言われるかもしれない。

 しかし、自信はあったのだ。箱根には何度も上ったし、日頃のトレーニングのおかげで、体力には自信があった。

 というわけで、何はともあれ決行することにした。

 目標は、一日で富士山のまわりを一周すること。

 さて、何を一周とするのか、という話になるが、ここで登場なのが、私を富士山を一周する気にさせた本、「静岡県サイクルツーリングガイド」なる本だ。

 これがなければ、西の方に向かって、一日に何キロ進めるか、試してみていたところだろう。

 サイクル道具をそろえるときに、サイクル店に置いてあったこの本を、とりあえずの教本として、富士山を一周することにした。

 で、見てみるとわかるのだが、実は、この本の中に書かれているコースの中で、この富士山一周が、どうも一番きついコースであることに気付くだろう。

 そんなもん選ぶな! という声もあるが、そこは無視の方向で。

 しかし、上級者の基準が、一日100キロ以上、標高1000メートル以上、ほとんどの修理が路上で行える…とある。うーん、まあ、100キロはいいだろう、1000メートルも、問題ではないが、修理がちょっと不安だ…。

 何度もメンテナンスとか修理のサイトを見直して、ちょこちょこっといじってもみた。まあ、これでいいとは口が裂けても言えないが、何かあったときは何かあったとき。車輪が外れるのとブレーキが効かない、この二つだけは念入りに避けることにして、良しとする。

 それでは、出発点だが、近くの某研究所の駐車場を使うか、とも思ったが、結局家から出てもそんなに変わらない、というか御殿場までは準備運動と思うことにして、岩波駅近くの家から出ることに出発の前夜決める。自転車はすでに車に詰め込んでいるので、明日朝組み立てることにして、就寝。

 決行の朝、5時に起きて、風呂+組み立て+食事+道具準備+飲食物の準備。

 朝食は菓子パンとカップラーメンという朝にはあり得ない濃いもので炭水化物を重点的に補充。

 持っていく食べ物は、ゼリー飲料を二つほどと、カロリーメイトが二箱。サイクリングというものは、エネルギーの消費が激しいので、カロリー補給には十分注意を払う必要がある。と言っても、カロリーメイトは非常用で、食べないつもり。

 飲み物は、アミノサプリをうすめたものとアミノバイタルを、合わせて1リットル強、保冷剤の代わりもする氷を500ミリリットル。

水分

 下着にサイクル用のインナーをはいて、ハーフパンツと、ぴっちりとしたシャツを着る。一応、ジャージの上をリュックの中に入れておく。本当はもっと軽いものがいいのだが、これだけ買いそろえるのを忘れていたのだ。

 というわけで、準備はOK。いざ、無謀な挑戦にレッツゴーとなる(何度も言いますが、ちゃんといける算段はついてますからね)。

 6:10。出発。

 御殿場まで、だいたい十キロの上り坂。まあ、上りと言っても、そこまできついものではないので(これに関しては賛否両論あろうが)、とりあえず準備運動をかねて、あまり飛ばさないことにする。時間を稼ぐつもりなら、もっと後でも良かろう。

 大した苦労もなく御殿場には到着。ここから、山中湖に向かう訳であるが、まず今回、最初にして、最大の難関、籠坂峠、標高1100メートルのおでましである。だいたい、標高差600ぐらいらしい。御殿場の標高は4、500となり、それはそれで怖ろしい話である。さすがは日本の秘境。

 何はともあれ、えっちらおっちらと上り始める。とは言え、始まったばかりで、まだまだ元気。水分補給をこまめにしながら、けっこう快調に上る。ここは、箱根で何度も上った自分にとっては、そこまで苦な道ではない。

 疲れていない、とは言わないものの、けっこう余裕ある状態で頂上まで到着、だいたい8:10ぐらい。出発から二時間、まだ元気はある。

 ここから、下りを飛ばし、すぐについた先が山中湖である。

 ここには何度か車で来て横を素通りしたのだが、今回もやはり素通り。一応、写真だけ写しておくことに。

山中湖

 そしてまたしばらく、富士浅間神社に到着。ここで多少休憩を入れ、ゼリー飲料を一本飲む。ちゃんとした休憩は、ここが初めてとなる。

 少し見てまわって、水分と栄養を補給したら、またすぐに出発だ。このころから、そろそろ腰とおしりが痛くなる。まあ、体勢が前屈みで、小さなサドルに座るこういうマウンテンバイクでは、いかんともしがたい問題なので、無視。

 富士急ハイランドを横目に、さらに進み、コンビニでアイスを一個買って、食べながら上る。走りながらの補給が基本だ。

 道の駅なるさわに到着。ここで、アクエリアスを買い、水を補給する。

 まわりには、けっこうな数のサイクル人達が。うーん、一人で来てるの自分だけ? まあ、サイクリングに付き合ってくれる人間はいないので、仕方ない話だし、他人のペースに合わせるのは、それはそれで辛かろう。

 休憩もそこそこ、すぐに出発する。前にサイクリングの一団がいたが、すぐに横に曲がっていった。

 ここからは、富士の樹海を抜ける道だ。下りが多いので、かなり楽。しかし、下るということは、上らなければならないということなので、あまり喜んでばかりはいられない。

 そろそろ疲労も溜まってきて、何より、固形物が食いたいと思い出す。しかし、カロリーメイトは最後の非常食、カロリーが足りなくなった訳ではなさそうだったので、とりあえず我慢。

 富士五湖をまたぐとは言え、最初の山中湖以外は、ほぼ素通り。ちょっと見えたあれは、多分本栖湖だろう。本栖湖と言えば、競艇。いや、あんまり見たことはないのだけど。

 まあ、何はともあれ、道の駅朝霧高原に到着。11:10。70キロぐらい走っている。

 ここで、ちょっと早い昼食を取る。でも、6時に出て、15時には帰り着くつもりなので、別に早いというわけではない。むしろ遅いぐらいか。

 コロッケ定食、600円也。地方特産とか考えずに、適当に選ぶ。

昼食

 大量の水と一緒にいただいて、ごちそうさま。少しだけ店を見てみて、休憩がてら、観光らしきものをしてみる。

 でも、後で確認すると、食事を合わせても、30分ぐらいしかいなかったようだ。

 そこから、少し行った場所で下りとなる。ここからはかなり爽快に飛ばす。今回の最大スピード、59キロは多分ここで出したものと思われる。

 白糸の滝をやはり見学せずにそのまま通過、そこから、少しずつ上りが出てくる。さすがにここまで来ると大したことのない坂がきつい。

 そして100キロも越えたあたりから、いよいよ坂が多くなってくる。さすがも何も、すでにグロッキー状態に近い。しかも、坂がきつく長い。

 多分10キロあったかどうかだと思うが、この区間が一番苦しい区間となる。

 何やってんだ、自分と思うことしばし、何とか上りを通り抜ける。後は帰りまでほぼ全部下り。楽なものだ。

 そこでふと思う。昼からそっち、写真写してないw

 まあ、仕方ない。下りは快調に飛ばすと止まることはないし、上りは上りで、途中で休むと気力が抜けてしまうことを経験則上知っている。無茶は一度にすべきだ。

 そのままかなりの高度差を一気に駆け下り、スーパーで食材を買って帰る。

 そして、やっとのことで完走。家を出て8時間40分。130キロの長い道のりだった。

 風呂に入った後、特製鶏サラダの肉を普通の2、3倍にしてタンパク質を補給。ごちそうさま。

夕?食

 その後3時間ほど睡眠。起きた後は、さすがに身体が重いが、筋肉痛のようなものはなし。次の日はすでに回復してエアロバイクをこいでいたりする。

 こうして、私の無茶なサイクリングは一応成功のもとに終わったのであった。ちゃんちゃん。

 次は富士山ヒルクライムか〜?

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